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横浜に泊まる外国人 〜 横浜支所スタッフコラム

横浜に泊まる外国人は少ないといわれることがあります。理由としては、東京に近いため横浜へ観光に訪れても宿泊先は東京となる、海外で知名度の高いホテルが少ないといったことなどが挙げられます。

では、実際はどうでしょうか。

横浜市の公表データによると、2016~2018年の横浜市内における外国人宿泊者数(延べ数、以下同じ)と外国人宿泊者の割合は、2016年以降、72万人・12.0%、73万人・11.8%、74万人・10.1%となっています。

一方、観光庁の公表データによると、日本全体における外国人宿泊者数と外国人宿泊者の割合は、2016年以降、6,939万人・14.1%、7,969万人・15.6%、8,859万人・17.4%です。同じように、東京都は、1,806万人・31.4%、1,978万人・33.0%、2,177万人・35.6%、大阪府は、1,001万人・32.3%、1,167万人・35.1%、1,389万人・38.8%となっていることからすると、横浜に泊まる外国人は少ないといえるかもしれません。「異国情緒あふれる街・横浜」は、日本人観光客の心には響いても、横浜市における外国人宿泊者の多くを占める中国(約3割)やアメリカ(約2割)、特に欧米人の心には響かないと思います。

横浜市の調査によると、外国人による横浜への来訪目的の80%以上が「観光」ですが、来訪目的で最も多いのは「日本の伝統文化」で、次いで「日本食を楽しむ」です。この結果からすると、外国人観光客にとっては、広大な敷地に複数の日本建築が配される「三渓園」や、昭和の日本の雰囲気を色濃く残す「野毛商店街」といった場所などが魅力的かもしれません。

ところで、横浜市における外国人宿泊者数は2010年の34万人に比べて2倍以上と、大幅に増加しています。これは、2015年1月から実施された中国人観光客に対するビザ発給要件の追加緩和などにより、中国人の宿泊需要が同年に大幅に増加したことが一つの大きな要因とみられます。ここ数年は微増に留まっていますが、中長期的にみれば、外国人宿泊者数は増加しているといってよいでしょう。

横浜市は、2021年の外国人宿泊者数を2017年比3割増の93万人に引き上げる目標を掲げています。前述のような横浜の観光スポットや、外国人に人気の高い周辺エリア、例えば鎌倉などへのアクセス性の高さなどをアピールしつつ、外国人が安心して選べる海外でも知名度の高いホテルが増えれば、横浜市における外国人宿泊者数はより増加していくのではないかと思います。

今年はラグビーワールドカップ、来年は東京オリンピックと、世界的なビッグイベントが立て続けに開催されます。横浜市では、日産スタジアムなどの複数の施設が競技会場となるため、多くの外国人の来訪が見込まれます。横浜の魅力を知ってもらう絶好の機会です。

外国人などの宿泊需要が増加する見込みもあり、現在、横浜市では西区・中区の臨海エリアを中心にホテル開発が活発に行われています。ハイアットやオークウッドなどの世界的なブランドも横浜に初進出する予定です。これらブランドの進出や、横浜のアピール活動などにより、今後、外国人の宿泊需要が更に拡大し、「観光するなら横浜に泊まるのがいいね」と思う外国人が増え、横浜の経済やホテル市場がより活発化していくことを期待しています。

田那邉 広明

横浜風情

 

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