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大阪圏地価調査の概要(令和3年)

1、都道府県別・用途別対前年平均変動率

大阪圏の平均変動率は、住宅地は△0.3%と2年連続で下落したが下落幅は縮小した。商業地は△0.6%と平成24年以来9年ぶりに下落に転じた。工業地は+1.7%で7年連続の上昇で、上昇率は拡大している。

(変動率:%) 住 宅 地 商 業 地 工 業 地
令和2年 令和3年 令和2年 令和3年 令和2年 令和3年
京都府 △0.8 △0.6 0.4 △0.6 2.8 2.9
大阪府 △0.3 △0.2 1.8 △0.9 0.3 0.6
兵庫県 △1.1 △0.8 △0.1 △0.6 △0.8 0.3
奈良県 △1.3 △1.2 △0.2 △1.1 2.6 2.4
大阪圏 △0.4 △0.3 1.2 △0.6 1.2 1.7

※大阪圏とは、近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域。

2、大阪府の地域別対前年平均変動率

1、全体の動向

大阪府の1年間の地価動向として、住宅地は変動率が△0.2%(前年△0.3%)と2年連続の下落となり、商業地は変動率が△0.9%(前年+1.8%)と9年ぶりの下落となった。

2、住宅地の動向

  • 大阪市では、+0.2%上昇(前年+0.3%)。全 24 区のうち、都島区、城東区、此花区、港区、大正区、淀川区、北区、福島区、中央区、西区、天王寺区、浪速区の 12 区が上昇を継続し、阿倍野区が横ばいから上昇となった。鶴見区、東淀川区の 2 区は上昇から横ばいとなり、東成区、旭区、住之江区の3区は横ばいが継続しており、住吉区、平野区、西成区は下落から横ばいとなった。東住吉区は上昇から下落し、生野区、西淀川区は下落が継続している。
  • 堺市では、+0.3%上昇(前年+0.4%)。全7区のうち中区、南区が下落が継続し、美原区が上昇から横ばいであるほかは、上昇が継続している。
  • 北大阪地域では、±0.0%で横ばい(前年+0.1%)。箕面市、豊中市、吹田市、茨木市は上昇が継続しており、池田市は下落から横ばいとなった。府内住宅地の地価上昇率第1位が池田(府)-7の+2.3%、第2位が箕面(府)-10の+2.1%であるなど、鉄道駅徒歩圏で交通利便性が高く、居住環境が良好な住宅地の需要は堅調で推移している。
  • 東部大阪地域及び南大阪地域では、高石市、大阪狭山市で上昇が継続している。それ以外の多くの市町村で下落が続いているが、下落率はやや縮小している。

3、商業地の動向

  • 大阪市では、△2.0%下落(前年+2.6%)。全 24 区のうち都島区、東成区、城東区、鶴見区、平野区、西成区、港区、福島区の8区が上昇から横ばいとなり、住之江区、此花区、東淀川区の3区は横ばいが継続している。阿倍野区、住吉区、淀川区、北区、中央区、西区、天王寺区、浪速区の8区が上昇から下落となり、生野区、旭区、東住吉区、大正区、西淀川区の5区は下落が継続している。
    梅田地区では、緊急事態宣言に伴う休業要請や人流減少等により店舗・ホテルの収益性が低下し、心斎橋・なんばエリアでは、コロナ禍により国内外の観光客が減少し、店舗・ホテル需要が大きく減退した。近年の旺盛なインバウンド需要により地価が大幅に上昇していた心斎橋・なんばエリアの下落は特に大きく、宗右衛門町に存する中央(府)5-3が下落率△18.5%と府内商業地の第1位(全国の商業地でも第1位の下落率)となるなど、府内商業地の地価下落率上位3地点が心斎橋・なんば地区に存する地点となった。
  • 堺市では、+0.9%上昇(前年+1.2%)。商業地が選定されている5区のうち、西区が上昇から横ばい、東区が上昇から下落となったが、他の3区では上昇を継続している。
  • 北大阪地域では、箕面市、池田市、高槻市、茨木市で上昇が継続しているが上昇率は縮小している。豊中市、吹田市は上昇から下落となった。北大阪急行延伸に伴い新駅設置が見込まれる箕面(府)5-3が+7.8%の上昇となり、府内商業地の地価上昇率第1位となった。
  • 東部大阪地域及び南大阪地域では、松原市が上昇を継続しているが、枚方市、守口市、東大阪市、八尾市、藤井寺市が上昇から横ばいとなり、羽曳野市が下落から横ばいとなった。また、大東市が横ばいから下落となったほか、その他の市は横ばい又は下落の継続となった。
(変動率:%) 住 宅 地 商 業 地
令和2年 令和3年 令和2年 令和3年
大阪府全域 △0.3 △0.2 1.8 △0.9
大阪市地域 0.3 0.2 2.6 △2.0
北大阪地域 0.1 0.0 2.1 0.7
東部大阪地域 △0.5 △0.4 0.4 △0.1
南大阪地域 △0.7 △0.5 0.4 0.3
堺市域 0.4 0.3 1.2 0.9

(注)・北大阪地域:能勢町、豊能町、箕面市、池田市、豊中市、吹田市、摂津市、茨木市、高槻市及び島本町
・東部大阪地域:枚方市、寝屋川市、門真市、守口市、交野市、四條畷市、大東市、東大阪市、八尾市及び柏原市
・南大阪地域:南河内地域(松原市、藤井寺市、羽曳野市、大阪狭山市、富田林市、河内長野市、河南町、太子町及び千早赤阪村)及び泉州地域(堺市、和泉市、高石市、泉大津市、忠岡町、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、田尻町、熊取町、阪南市及び岬町)

3、兵庫県の地域別対前年平均変動率

1、全体の動向

兵庫県のうち大阪圏に存する圏域の1年間の地価動向として、変動率は住宅地が+0.3%上昇(前年±0.0)、商業地が±0.0%で横ばい(前年+1.2%)となった。

2、住宅地の動向

  • 神戸市では、+0.1%上昇(前年+0.2%)。全 9 区のうち、東灘区、灘区、垂水区、中央区は上昇が継続し、須磨区は下落から上昇となった。兵庫区は上昇から横ばいとなり、長田区、北区、西区は下落が継続しているが、下落幅は縮小している。市内でも利便性と住環境が良好な灘区、東灘区は安定した需要を有し、JR摩耶駅徒歩圏に存する灘(県)-4が上昇率+5.2%で県内住宅地の地価上昇率第1位となったほか、上昇率上位5地点は、灘区及び東灘区内の地点となっている。
  • 阪神地域では、芦屋市、伊丹市、宝塚市が上昇を継続し、尼崎市、西宮市が下落から上昇となった。大阪・神戸への通勤・通学圏に位置することから住宅需要は比較的安定しており、芦屋市、伊丹市及び宝塚市は上昇幅が拡大している。

3、商業地の動向

  • 神戸市では、△1.1%下落(前年+1.3%)となった。東灘区、灘区、兵庫区、須磨区、垂水区、北区、西区の7 区で上昇が継続しているが、長田区及び中央区で上昇から下落となった。
    中央区の三宮周辺では、コロナ禍により店舗・ホテル需要が減退しており、三宮センター街では特に規模の大きな店舗の需要減退が顕著となっている。
  • 阪神地域では、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市で上昇が継続し、三田市は横ばいが継続、その他の市町は下落が継続している。インバウンド需要の影響が小さく、県内商業地の地価上昇率上位5位までの地点は、阪神地域内の商業地が占めている。
(変動率:%) 住 宅 地 商 業 地
令和2年 令和3年 令和2年 令和3年
兵 庫 県(注1) 0.0 0.3 1.2 0.0
神 戸 市 0.2 0.1 1.3 △1.1
東部4(注2) 1.5 0.9 1.7 △2.0
阪 神 地 域 △0.2 0.4 1.1 1.4

(注1)兵庫県のうち大阪圏の圏域の変動率
(注2)・神戸市の東部4区とは、東灘区、灘区、兵庫区、中央区の各区。
・阪神地域とは、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町。

4、京都府の地域別対前年平均変動率

1、全体の動向

京都府のうち大阪圏に存する圏域の1年間の地価動向として、変動率は住宅地が△0.4%下落(前年△0.5%)、商業地が△0.3%下落(前年+0.8%)となった。

2、住宅地の動向

  • 京都市では、△0.1%(前年+0.1%)。全 11 区のうち、中心部の上京区、中京区、下京区、南区は上昇が継続しているが上昇率は縮小し、西京区は横ばいから上昇となった。東山区、左京区は上昇から下落、北区は横ばいから下落となり、その他の区は下落が継続している。
  • 京都市以外の圏域内市町では、京都市近郊の向日市、長岡京市は、阪急線、JR 線の 2 路線利用可能な京阪間のベッドタウンとして需要が堅調であり、下落から上昇となった。阪急洛西口駅徒歩圏に位置する向日(府)-1が+3.6%で、府下住宅地の地価上昇率第1位となっている。

3、商業地の動向

  • 京都市では、△0.4%下落(前年+1.4%上昇)。全 11 区のうち、下京区、西京区は上昇が継続し、右京区は下落から上昇、中京区、左京区は上昇から横ばい、山科区は下落から横ばいとなり、伏見区、東山区、南区、上京区、北区は上昇から下落となった。観光地周辺での店舗需要や宿泊施設需要が地価上昇を牽引していた伏見区や東山区等の下落率が大きく、伏見稲荷大社に近い伏見(府)5-1は△10.6%で、大阪圏の商業地で第3位の下落率となるなど、国内外の観光客減少から店舗や宿泊施設について収益性の低下が見られる。
  • 京都市以外の圏域内市町では、長岡京市、京田辺市で上昇が継続し、向日市、城陽市、精華町は下落から横ばいとなった。八幡市は横ばいから下落となり、その他の市町は下落が継続している。阪急線、JR線の2路線利用可能で、周辺でマンション開発等が見られる長岡京(府)5-1が+5.7%で府下商業地の地価上昇率第1位となっている。
(変動率:%) 住 宅 地 商 業 地
令和2年 令和3年 令和2年 令和3年
 京 都 府(注1) △0.5 △0.4 0.8 △0.3
京 都 市 0.1 △0.1 1.4 △0.4
中心5区(注2) 0.6 0.0 2.0 0.0
そ の 他 △1.1 △0.7 △0.9 △0.2

(注1) 京都府のうち大阪圏の圏域の変動率
(注2)京都市の中心5区とは、北区、上京区、左京区、中京区、下京区の各区。

(参考資料)
・国土交通省「令和3年地価調査」、「標準地・基準地検索システム」
・大阪府「令和3年地価調査結果」
・兵庫県「令和3年地価調査結果」
・京都府「京都府地価調査の結果について」

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