M&Aでは、対象企業の収益力や将来性だけでなく、保有する資産の価値も買収価格を検討するうえで重要な要素となります。なかでも土地や建物は金額が大きく、帳簿価額と現在の市場価値が大きく異なることも珍しくありません。
不動産の価値を十分に確認せずにM&Aを進めると、含み益を見落として企業価値を過小に評価したり、反対に、含み損や多額の修繕費、土壌汚染などのリスクを買収後に負担したりする可能性があります。
ただし、不動産の評価額がそのまま買収価格に加算されるわけではありません。事業で使用している不動産なのか、事業との関連性が低い遊休不動産なのかによっても、企業価値への反映方法は変わります。
この記事では、M&Aにおける不動産評価の目的、買収価格への影響、主な評価方法、デューデリジェンスとの違い、実施時の注意点について解説します。
M&Aにおける不動産評価とは
M&Aにおける不動産評価とは、対象企業が保有または使用している土地や建物について、価格や収益性、権利関係、利用上の制約などを調査し、その価値を把握することです。
貸借対照表に記載されている土地や建物の金額は、原則として取得時の価格を基礎としています。そのため、現在の市場価値と一致するとは限りません。
長期間保有している土地では、多額の含み益が生じている場合があります。一方、地価の下落や建物の老朽化によって、帳簿価額を実際の価値が下回っていることもあります。
M&Aでは帳簿上の金額だけで判断せず、不動産の状態や市場動向、収益性などを踏まえて価値を検討する必要があります。
「不動産M&A」との違い
M&Aに伴う不動産評価と「不動産M&A」は、意味が異なります。
不動産M&Aとは、一般に、不動産を保有する会社の株式を譲渡することで、会社とともに不動産を実質的に移転させる取引を指します。
これに対し、M&Aにおける不動産評価は、事業会社の買収などに際して、対象企業が保有する不動産の価値やリスクを確認するものです。
対象企業が製造業や小売業、宿泊業などであっても、自社ビル、工場、店舗、倉庫、社宅などを保有していれば、不動産評価が重要になる場合があります。
M&Aで不動産評価が重要になる理由
帳簿価額と市場価値に差が生じるため
不動産は、取得してから時間が経過すると、帳簿価額と市場価値の差が大きくなることがあります。
好立地の土地を過去に低い価格で取得していれば、帳簿に表れていない含み益が生じている可能性があります。反対に、需要が低下している地域の不動産や老朽化した建物では、含み損が発生していることもあります。
この差を把握しなければ、対象企業の実態に即した資産価値を算定できません。
企業価値や買収価格に影響するため
対象企業が価値の高い不動産を保有している場合、その価値は企業価値を押し上げる要因になり得ます。
特に、純資産を基礎として企業価値を算定する時価純資産法では、帳簿上の不動産価額を時価に修正するため、含み益や含み損が評価結果に反映されやすくなります。
一方、DCF法など、将来のキャッシュフローを基礎とする評価方法では、事業用不動産が生み出す利益が将来キャッシュフローに含まれていることがあります。この場合、不動産価値を別途加算すると二重評価になるおそれがあるため、算定方法との整合性を確認しなければなりません。
買収後の負担が隠れていることがあるため
不動産については、現在の価格だけでなく、買収後に発生する費用や責任も確認する必要があります。
建物の老朽化が進んでいれば、大規模な修繕や設備更新が必要になる可能性があります。工場跡地やガソリンスタンド跡地などでは、土壌汚染や地下埋設物が見つかることもあります。
境界の未確定、越境、抵当権、既存不適格、賃貸借契約上の制約なども、不動産の利用や売却に影響を及ぼす要因です。市場価値が高い不動産であっても、こうした負担が大きければ、実際に活用できる価値は低下します。
不動産評価が買収価格に与える影響
含み益がある場合
不動産の市場価値が帳簿価額を上回っている場合、その差額が含み益です。
含み益が確認されれば、対象企業の実質的な純資産が増加し、売り手が希望する価格を裏付ける材料になります。特に、都心部の土地や取得から長期間が経過した土地を保有している企業では、大きな含み益が生じている可能性があります。
ただし、含み益の全額が買収価格へ反映されるとは限りません。不動産を売却した場合に生じる税負担や売却費用、処分までの期間などを考慮して、一定の調整が行われることがあります。
含み損がある場合
不動産の市場価値が帳簿価額を下回っている場合は、含み損が生じています。
時価純資産法を採用するときは、含み損が実質純資産を減少させ、買収価格の引下げ要因になる可能性があります。
建物については、帳簿価額と市場価値の差だけでなく、今後必要になる修繕費や設備更新費も確認しなければなりません。不動産の売却価格が借入金残高を下回る場合には、処分しても借入金を完済できない可能性があります。
事業用不動産と非事業用不動産では扱いが異なる
工場、店舗、ホテル、物流施設など、事業に欠かせない不動産は、企業の収益を生み出す事業用資産です。その価値は、事業のキャッシュフローと一体的に評価されることがあります。
一方、使用していない土地や社宅、投資目的で保有する物件など、事業との関連性が低い不動産は、非事業用資産として事業価値とは別に加算される場合があります。
不動産の市場価値だけを見るのではなく、その不動産が対象企業の事業や収益にどのように関係しているかを整理することが重要です。
借入金や担保設定も考慮する
不動産に抵当権が設定されている場合、その原因となる借入金も含めて確認する必要があります。
株式譲渡では、対象企業が抱える借入金も原則として会社に残ります。不動産の評価額が高くても、多額の有利子負債があれば、株主に帰属する株式価値は低くなる可能性があります。
不動産価格だけを独立して捉えず、借入金、担保、保証関係を一体的に確認しなければなりません。
不動産評価で用いられる主な評価手法
不動産鑑定評価では、一般に「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」という3つの手法を検討し、対象不動産の種類や特性に応じて評価額を決定します。
原価法
原価法は、同じ不動産を現在あらためて取得または建築するとした場合の再調達原価を求め、築年数や老朽化などによる価値の減少分を差し引いて評価する方法です。
建物や造成地など、再調達原価を把握しやすい不動産の評価に用いられます。ただし、取得や建築にかかった費用が、そのまま市場での売却価格になるわけではありません。
取引事例比較法
取引事例比較法は、対象不動産と条件が近い不動産の取引事例を収集し、立地、面積、接道状況、取引時期などの違いを補正して価格を求める方法です。
住宅地や更地、分譲マンションなど、類似する取引事例を集めやすい不動産に適しています。一方、特殊性の高い不動産や取引の少ない地域では、比較できる事例が限られることがあります。
収益還元法
収益還元法は、不動産が将来生み出すと見込まれる収益を現在価値に換算して評価する方法です。賃貸オフィス、賃貸マンション、商業施設などの収益用不動産で重視されます。
収益還元法には、一定期間の純収益を還元利回りで割って価格を求める直接還元法や、保有期間中の収益と将来の売却価格を現在価値に割り引くDCF法などがあります。
賃料水準、空室率、運営費用、修繕費、還元利回りなどの前提によって評価結果が変わるため、それぞれの数値に合理的な根拠が求められます。
時価純資産法と不動産評価の関係
時価純資産法は、不動産そのものの評価手法ではなく、企業価値や株式価値を算定する方法の一つです。
時価純資産法では、対象企業の資産と負債を時価に修正し、その差額から実質的な純資産額を求めます。不動産については、原価法、取引事例比較法、収益還元法などによって把握した価値を用いて、帳簿価額を時価へ修正します。
つまり、不動産評価によって求めた価格を企業価値評価に組み込む関係にあります。
両者は、次のように区別できます。
- 原価法、取引事例比較法、収益還元法:不動産の価値を求める手法
- 時価純資産法、DCF法、類似会社比較法:企業価値や株式価値を求める手法
不動産評価と企業価値評価を混同せず、それぞれの結果をどのように組み合わせるかが重要です。
固定資産税評価額や路線価との違い
不動産には、固定資産税評価額、相続税路線価、公示価格、実際の取引価格など、複数の価格があります。
固定資産税評価額は、固定資産税などを計算するために市町村が決定する価格です。相続税路線価は、相続税や贈与税の計算に使用されます。公示価格は、国土交通省が公表する標準地の価格であり、一般の土地取引価格に対する指標の一つです。
これらは、それぞれ目的や算定基準が異なるため、M&Aにおける不動産の市場価値と一致するとは限りません。
固定資産税評価額や路線価だけで判断せず、対象不動産の立地、個別性、収益性、取引可能性などを踏まえて評価する必要があります。
不動産鑑定評価と不動産デューデリジェンスの違い
不動産鑑定評価と不動産デューデリジェンスは、どちらもM&Aで活用されますが、目的が異なります。
| 調査・評価 | 主な目的 |
| 不動産鑑定評価 | 不動産の経済的な価値を判定する |
| 不動産デューデリジェンス | 権利、法令、環境、収支などのリスクを調査する |
| エンジニアリングレポート | 建物の遵法性、劣化状況、修繕費などを調査する |
不動産鑑定評価によって価格を把握しても、建物の劣化や土壌汚染など、すべてのリスクを確認できるとは限りません。
対象不動産の種類やM&Aの規模に応じて、不動産鑑定士、弁護士、土地家屋調査士、建築士、税理士などの専門家と連携しながら調査を進める必要があります。
M&Aの不動産デューデリジェンスで確認する項目
権利関係
所有者、共有持分、抵当権、地上権、借地権、賃借権などを確認します。登記上の情報と実際の利用状況が一致しているかも調査対象です。
境界や越境
土地の境界が確定しているか、隣接地との間に越境物がないかを確認します。境界が未確定の場合、将来の売却や建替えに影響することがあります。
建物の状態
築年数、構造、耐震性能、修繕履歴、設備の更新状況などを調査します。買収後に大規模な改修が必要であれば、その費用を企業価値や事業計画に反映させる必要があります。
法令上の制限
用途地域、建ぺい率、容積率、接道条件、再建築の可否などを確認します。現在の建物が既存不適格建築物に該当する可能性についても検討が必要です。
環境リスク
工場跡地やガソリンスタンド跡地などでは、土壌汚染や地下水汚染が問題になる場合があります。アスベスト、PCB、地下埋設物なども、撤去費用や法的責任につながる可能性があります。
賃貸借契約と収益性
賃貸不動産では、賃料、空室率、契約期間、敷金、滞納状況、修繕負担などを確認します。現在の賃料が周辺相場とかけ離れていないかも、収益性を判断するうえで重要です。
借地・借家の場合に確認したいポイント
対象企業が事業で使用している不動産を所有しているとは限りません。店舗や工場、事務所などを借りている場合には、賃借権や借地権が事業継続に与える影響を確認します。
特に重要なのは、株主変更や事業譲渡について賃貸人の承諾が必要かという点です。株式譲渡では賃借人である会社自体は変わりませんが、契約書に株主変更などに関する条項が設けられていることがあります。
事業譲渡では、賃貸借契約の移転について相手方の承諾が必要になることが一般的です。承諾を得られなければ、M&A後も同じ場所で事業を続けられない可能性があります。
そのほか、契約の残存期間、更新条件、賃料の妥当性、原状回復義務、敷金や保証金の返還可能性なども確認が必要です。
株式譲渡と事業譲渡による不動産の扱いの違い
M&Aの手法によって、不動産の移転方法や必要な手続きは異なります。
株式譲渡の場合
株式譲渡では、対象企業の株主が変わりますが、対象企業が保有する不動産の所有者は変わりません。そのため、通常は不動産について個別の所有権移転登記を行う必要はありません。
ただし、会社が抱える借入金、担保権、契約上の義務、不動産に関する潜在的な責任なども会社に残ります。買い手は、不動産の価値だけでなく、関連する負債やリスクも含めて引き継ぐことになります。
事業譲渡の場合
事業譲渡では、譲渡対象となる資産や契約を個別に特定します。不動産を譲渡対象に含める場合は、所有権移転登記などの手続きが必要です。
賃貸借契約、借地権、許認可などについても、自動的に買い手へ移転するとは限りません。契約の移転や名義変更にあたり、相手方の承諾が必要になる場合があります。
登録免許税や不動産取得税などの費用が発生する可能性もあるため、評価額だけでなく、取引手法ごとの税務や手続きも考慮する必要があります。
不動産を含めて譲渡するか、切り離すか
対象企業が価値の高い不動産を保有している場合、不動産を会社に残したままM&Aを行う方法だけでなく、取引前に切り離す方法も考えられます。
主な選択肢としては、不動産を含めて会社を譲渡する方法、M&A前に不動産を売却する方法、経営者や関係会社へ移転する方法、不動産を切り離したうえで買収後の会社へ賃貸する方法などがあります。
売却後も同じ不動産を使用する必要がある場合には、不動産を売却して買主から借りるセール・アンド・リースバックが検討されることもあります。
ただし、不動産を切り離すと、対象企業には新たに賃料負担が発生します。その結果、営業利益や将来キャッシュフローが変化し、事業価値が下がる可能性もあります。
どの方法が適しているかは、不動産の価格だけでなく、事業上の必要性、資金調達、税務、譲渡後の収益性を含めて判断しなければなりません。
不動産鑑定士による評価の流れ
不動産鑑定士が評価を行う場合、一般的には次のような流れで進みます。
- 評価の目的と条件を確認する
- 登記事項証明書や図面などの資料を収集する
- 現地を確認する
- 権利関係や法令上の制限を調査する
- 周辺地域や不動産市場を分析する
- 評価手法を適用して価格を試算する
- 各試算価格を比較・調整する
- 鑑定評価額を決定し、鑑定評価書を作成する
M&Aでは、価格の基準となる時点や評価の目的を明確にすることが大切です。対象不動産の継続利用を前提とするのか、売却を想定するのかによっても、重視すべき要素が変わる場合があります。
不動産評価では価格時点を明確にする
不動産の価格は、市場環境や金利、周辺地域の開発状況などによって変動します。そのため、M&Aにおける不動産評価では、いつの時点の価格を求めるのかを明確にしなければなりません。
評価を実施してからクロージングまで長期間が経過した場合には、市場価格や対象不動産の収益状況が変化している可能性があります。
評価後に大きな市場変動、テナントの退去、災害、建物の損傷などが発生した場合は、評価内容の見直しが必要になることもあります。
鑑定評価額と実際の売却価格が異なる理由
不動産鑑定評価によって求められた価格と、実際の売却価格が必ず一致するわけではありません。
不動産鑑定評価は、価格時点や評価条件に基づき、不動産の経済価値を判定するものです。一方、実際の取引価格は、売却までに確保できる期間、買い手候補の数、資金調達環境、売り手と買い手の事情などにも左右されます。
特定の買い手にとって対象不動産との相乗効果が期待できれば、一般的な市場価値を上回る条件が提示される可能性もあります。反対に、早期売却が必要な場合や買い手が限られる不動産では、売却価格が評価額を下回ることもあります。
M&Aでは、鑑定評価額を客観的な判断材料として活用しながら、企業価値の算定方法や取引条件を含めて買収価格を検討します。
不動産評価をM&A交渉に活用するポイント
売り手側の活用方法
売り手側は、不動産の含み益を客観的な資料によって示すことで、希望価格の根拠を明確にできます。
特に、長期間保有している土地や、周辺開発によって価値が上昇している不動産については、帳簿価額だけでは本来の価値が伝わりません。事前に評価を行うことで、買い手からの過度な価格引下げを防ぎやすくなります。
もっとも、評価額だけを示すのではなく、売却費用や税負担、事業における利用状況も含めて説明する必要があります。
買い手側の活用方法
買い手側は、不動産評価とデューデリジェンスを通じて、買収価格が過大になっていないかを検証できます。
含み損、修繕費、環境リスク、法令上の制約などが見つかった場合は、価格調整だけでなく、表明保証や補償条項、クロージング前の是正条件などを検討する材料になります。
問題が見つかったからといって、直ちに取引を中止する必要があるとは限りません。リスクの内容と金額を整理し、買収価格や契約条件に反映させることが現実的な対応となります。
不動産鑑定評価を検討したいケース
すべてのM&Aで不動産鑑定評価が必要になるわけではありません。簡易的な価格調査や不動産会社による査定で、一定の判断ができる場合もあります。
一方、次のようなケースでは、専門家による不動産鑑定評価を検討する意義が大きくなります。
- 対象企業の総資産に占める不動産の割合が大きい
- 不動産を取得してから長期間が経過している
- 帳簿価額と市場価値の差が大きいと考えられる
- 工場、ホテル、商業施設など特殊性のある不動産を保有している
- 類似する取引事例が少ない
- 売り手と買い手の査定額に大きな差がある
- 金融機関や株主などへの説明資料が必要になる
- 関係者間の取引など、価格の客観性が求められる
不動産の重要性や評価目的に応じて、必要な調査の範囲を決めることが大切です。
M&Aにおける不動産評価の注意点
評価額が買収価格に直結するとは限らない
不動産の評価額が高くても、その価値がすべて買収価格に上乗せされるとは限りません。
事業用不動産が生み出す収益をDCF法などで評価済みの場合、不動産価値を別途加算すると二重評価になる可能性があります。売却時の税負担や費用、借入金、事業への貢献度なども考慮しなければなりません。
一つの価格資料だけで判断しない
固定資産税評価額や路線価、不動産会社による査定額は参考になりますが、それぞれ目的や算定方法が異なります。
重要なM&Aの判断では、一つの価格資料だけに依存せず、対象不動産の特性や評価目的に適した方法を選ぶ必要があります。
価格評価とリスク調査を分けて考える
不動産の価格が分かっても、権利関係や建物の状態、環境リスクまで把握できるとは限りません。
価格評価とデューデリジェンスの役割を区別し、必要に応じて各分野の専門家へ調査を依頼することが重要です。
M&Aにおける不動産評価についてよくある質問
M&Aでは必ず不動産鑑定評価が必要ですか?
すべてのM&Aで必要になるわけではありません。
ただし、不動産が企業価値に占める割合が大きい場合や、帳簿価額と市場価値に大きな差があると考えられる場合、売り手と買い手の見解が一致しない場合には、専門的な評価を行う意義が大きくなります。
固定資産税評価額だけで買収価格を決められますか?
固定資産税評価額は、固定資産税などの課税を目的とした価格であり、そのまま市場価値を示すものではありません。
M&Aでは、立地、収益性、利用状況、権利関係、建物の状態なども踏まえて判断する必要があります。
不動産の含み益は全額買収価格に加算されますか?
必ずしも全額が加算されるわけではありません。
企業価値の算定方法に加え、不動産を売却した場合の税負担や費用、借入金、換金可能性、事業への貢献度などを踏まえて調整されます。
不動産鑑定評価にはどのくらいの期間がかかりますか?
対象不動産の種類や件数、評価の目的、資料の整備状況などによって異なります。
権利関係が複雑な不動産や特殊性の高い物件では、調査に時間がかかる可能性があります。M&Aのスケジュールに影響しないよう、早い段階で対象物件と必要資料を整理しておくことが望まれます。
不動産鑑定評価書があればデューデリジェンスは不要ですか?
不動産鑑定評価とデューデリジェンスは目的が異なるため、評価書があっても、別途調査が必要になる場合があります。
不動産鑑定評価は不動産の経済価値を判定するものです。一方、デューデリジェンスでは、法務、建物、環境、税務などのリスクを調査します。対象不動産の種類や取引規模に応じて、必要な調査を組み合わせることが大切です。
まとめ
M&Aにおける不動産評価は、対象企業が保有する土地や建物の市場価値、収益性、権利関係、利用上の制約などを把握するために行われます。
帳簿価額と現在の価値の差を確認することで、含み益や含み損を企業価値に適切に反映できます。また、修繕費、土壌汚染、境界、担保権、法令上の制限など、買収後の負担につながる問題を事前に把握することも欠かせません。
ただし、不動産の評価額がそのまま買収価格に加算されるわけではありません。事業用資産か非事業用資産か、企業価値の算定にどの手法を用いるか、借入金や税負担をどう扱うかによって、価格への反映方法は異なります。
さらに、株式譲渡と事業譲渡では、不動産の移転手続きや契約、税務上の取扱いも変わります。評価額だけを見るのではなく、取引手法や対象企業の事業計画まで含めて検討することが重要です。
株式会社中央不動産鑑定所では、不動産鑑定評価を通じて、M&Aの対象企業が保有する不動産の価値把握を支援しています。不動産の含み損益を確認したい場合や、買収価格を検討するための客観的な評価資料が必要な場合は、お気軽にご相談ください。
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