評価手法

DCF法

Discounted Cash Flow Method(Analysis)の略で、連続する複数の期間に得られるであろうキャッシュフローを分析して、一定期間の予測純収益(鑑定評価ではNCF)と将来における転売予想価格(復帰価格)をその発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計して収益価格を求める手法である。

各期毎のキャッシュフロー(NCF)の変動を細かく織り込むことが可能であるが、キュッシュフローの変動予測(想定シナリオの設定)や転売予想価格の査定などの作業が必要となる。

DC法

Direct Capitalization Method(Analysis)の略で、一般的には「直接還元法」と呼ばれており、平準化した単年度の純収益(鑑定評価ではNCF)をキャップレートで資本還元して収益価格を求める手法である。

前記DCF法のように、各期毎のキャッシュフロー(NCF)の変動を細かく織り込むことはできないが、不動産投資の主要な指標であるキャップレートを用いて比較的容易に収益価格を求めることが可能である。

キャップレート(Capitalization Rate・Overall Capitalization Rate)

単年度純収入(NOI)と不動産価格(V)との関係(CR=NOI/V)を示す総合還元利回りのことをいうが、アセットマネジメントや投資家サイドでは投資利回り(取引利回り)的な意味合いが強く、当社(鑑定サイド)では直接還元法(Direct Income Method)で採用する還元利回りを意味し、この場合の純収入はNOI(Net Operating Income)ではなく標準化された純収益NCF(Net Cash Flow)となる。

ディスカウントレート(Discount Rate)

DCF法の試算に際して、将来発生するキャッシュフロー(収益)を発生時期に応じて現在価値に割り戻す際の利率(割引率)のことをいい、不動産の投資収益率、期待収益率としての性格を有する。

単年度の収益性を示すキャップレート(CR・還元利回り)に対して、ディスカウントレート(割引率・DR)は元本の将来変動率(X)を含んだ利回り(総合収益率)であり、CR=DR-Xの関係が成り立つ。

ターミナルレート(Terminal Capitalization Rate)

DCF法の試算に際して、出口(期間満了時)の転売価格は通常投資期間終了の翌期の純収益を還元して求めるが、この際の利率(最終還元利回り・転換時還元利回り)のことをいう。保有期間以降の予測収益は、現時点の予測収益に比べて危険度が増すこと、また、建物等の老朽化に伴う収益獲得能力の低下が予測されることから、評価上はキャップレート(CR)より高めに設定するケースが多いが、期間満了時の賃料等の上昇が確実に予想される場合には、CR>TRとなる。

開発型DCF法

オフィス・マンション等の不動産賃貸事業の開発計画を前提として、当該開発スケジュールに即して、DCF法等(注)により開発後の不動産賃貸事業の予測キャッシュフローを基に竣工後の複合不動産の収益価格を査定し、ついで、この収益価格を開発期間に基づいて割り引いた現在価値(収入)から、開発期間中の建築費等の開発費用の現在価値(支出)を控除し、開発前の対象不動産(土地価格・建替前の複合不動産)の価格を試算する手法である。

なお、割引率は、賃貸稼働中の不動産と比較して、開発リスク等を考慮したレートを適用するのが一般的である。また、開発後の建物の業態としては賃貸用建物と分譲用建物とがあるが、当該手法は、一般的には賃貸用建物の開発を前提として開発前の土地等の価格を試算するケースで適用され、分譲用建物についてはいわゆる開発法を適用するのが一般的である。
(注)開発後の複合不動産についてはDC法等を適用するケースもある。

ダイナミックDCF法(Dynamic Discounted Cash Flow Method)

ダイナミックDCF法(モンテカルロDCF法ともいう)は、不動産が有する不確実性(賃料変動、テナントの期限前退出、空室期間等)を確率モデルとして設定し、そこからモンテカルロ・シミュレーションにより多数の予測シナリオを生成させ、キャッシュフローの現在価値の確率分布を求める手法である。

将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く基本的な考え方はDCF法と共通であるが、DCF法が単一の予測シナリオを前提とし、将来の不確実性を固定的な一種の平均値として扱うのに対し、DDCF法は、将来のキャッシュフローを動的な確率過程として把握することから、多様なリスクを考慮することが可能で、リアル・オプションのプライシング手法としても使われる。

リアル・オプション(Real Options)

金融資産について将来の特定日に前もって決めた価格で売買することのできる権利をオプションといいい、オプション価格は、(1)原資産価格(2)権利行使価格(3)ボラティリティ(原資産の変動性)(4)リスクフリーレート(5)満期の変数を確定し、ブラックル・ショールズ・モデルに代表されるオプション・プライシング・モデルによって決定される。

リアル・オプションは、金融資産以外の実物資産のオプションをいい、事業価値(資産価格)の変動を確率分布の標準偏差を使って評価する。不動産の場合は、開発型で開発後の事業収支の不確実性の高いケースに有効である。ただし、ボラティリティ(原資産の変動性) を的確に示すインデックスが構築されていないため、ダイナミックDCF等によりプライシングする。

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