相続に関する鑑定評価

不動産相続の流れと登場人物の役割を具体例で丁寧に解説します

不動産相続の流れと登場人物の役割を具体例で丁寧に解説します
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不動産相続は、現金や預金だけの相続と比べて手続きが複雑になりやすい分野です。
土地や建物は簡単に分けることができず、さらにその評価の考え方によって、相続税額や相続人同士の納得感が大きく左右されます。

そのため、不動産相続では「何を、どの順番で、誰が判断するのか」をあらかじめ理解しておくことが重要です。
本記事では、税制動向も踏まえながら、具体的なモデルケースを用いて不動産相続の基本的な流れと、各場面で関わる専門家の役割を解説します。

モデルケース 不動産と金融資産を持つ祖父の相続

今回のモデルケースでは、都内に住んでいた祖父のAさん(78歳)を想定します。
Aさんの配偶者はすでに他界しており、相続人は長男と長女の2人です。

Aさんが亡くなった時点で所有していた主な財産は次の通りです。

東京都内の自宅(土地と建物)
賃貸用アパート1棟
現金預金2,000万円
上場株式1,000万円分

不動産と金融資産の両方を保有している点は、実際の相続でもよく見られるケースです。
特に不動産については、その評価の考え方が相続全体に大きな影響を与えます。

ステップ1 相続の開始と相続人の確定

主に対応する専門家:司法書士、弁護士

Aさんが亡くなったことで、法律上の相続が開始されます。
最初に行うのは、戸籍を確認し、誰が相続人になるのかを正式に確定させる作業です。

このケースでは、配偶者がいないため、長男と長女の2人が法定相続人となります。
戸籍収集や相続関係の整理は、実務上は司法書士が対応することが多く、相続人関係が複雑な場合や争いが想定される場合には、弁護士が関与するケースもあります。

この段階では、まだ財産の分け方や相続税額は決まっていません。

ステップ2 遺言書の有無を確認する

主に対応する専門家:弁護士、司法書士

次に、Aさんが遺言書を残していたかどうかを確認します。
Aさんは、生前に公正証書遺言を作成していました。

遺言書の内容は次の通りです。

自宅不動産は長男が相続
賃貸アパートは長女が相続
現金と株式は2人で均等に分ける

公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、形式不備による無効リスクが低く、相続手続きの指針として高い信用性があります。
遺言内容の確認や解釈については、弁護士や司法書士が関与することが一般的です。

原則としてこの内容に沿って相続が進められますが、相続人の取り分が著しく不公平な場合には、遺留分が問題となることもあります。

ステップ3 不動産の評価を行う

主に対応する専門家:不動産鑑定士、税理士

不動産相続で最も重要なのが、「不動産をいくらの価値として扱うか」という点です。
相続税の計算では、一般に路線価などに基づく相続税評価額が用いられますが、これは実際の取引価格(時価)と必ずしも一致しません。

また、遺産分割の場面では、相続人全員が納得できる評価方法を用いることが重要です。
話し合いがまとまらない場合には、不動産鑑定などにより客観的な時価が問題となることがあります。

自宅不動産を相続する場合、「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性が高く、この場合、評価額を80%減額できますが、この特例で税金を抑えつつも、相続人間での公平な分け方を考える上では、実勢価格を把握することが重要です。

こうした不動産を活用した節税は、これまでは賃貸マンションなどの「貸付用不動産」でも非常に効果的でした。しかし、2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱では、貸付用不動産を利用した過度な節税を抑制する観点から、相続税評価の見直しが示されました。
具体的には、相続開始前5年以内に取得または新築された一定の貸付用不動産について、取得価額を基準に地価変動等を考慮した金額の80%で評価する仕組みが導入される方向とされています。
この改正は、2027年1月1日以後に発生する相続等から適用される予定です。

こうした背景から、不動産鑑定士が第三者として時価を整理し、その評価を踏まえて税理士が相続税計算を行う、という連携が重要になっています。

ステップ4 相続税の計算と申告

主に対応する専門家:税理士

不動産の評価額、現金、株式など、すべての財産を合算し、基礎控除額
(3,000万円+600万円×法定相続人数)
を超える場合には、相続税の申告が必要となります。

相続税の計算と申告は、主に税理士が担当します。
不動産の評価が適切でない場合、結果として相続税を納め過ぎてしまうこともあるため、評価の前提を丁寧に確認することが重要です。

ステップ5 不動産の名義変更(相続登記)

主に対応する専門家:司法書士

相続内容が確定した後、不動産の名義変更を行います。
Aさんのケースでは、自宅は長男名義に、賃貸アパートは長女名義に変更されます。

相続登記は2024年4月から義務化されており、正当な理由なく期限内に行わない場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。
この手続きは、実務上は司法書士が担当するのが一般的で不動産に関する相続手続きの最終段階にあたります。
この手続きが完了すると、不動産の名義が正式に相続人へ移り、不動産についての相続手続きは一通り完了した状態になります。

まとめ

不動産相続では、感情が入りやすいからこそ、客観的な不動産評価が判断の土台になります。
特に近年は税制改正の影響もあり、不動産の評価をどのように考えるかが、相続全体の進め方に大きく関わります。

中央不動産鑑定所では、相続に関わる不動産について、中立的な立場から鑑定評価を行い、税理士や司法書士などの専門家と連携しながら、手続きの前提整理をサポートしています。
相続を進める前に不動産の価値を整理しておくことで、その後の判断がしやすくなるケースも少なくありません。

 

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