小規模修繕費
建物の小規模修繕費とは、建物を通常の状態で使用し続けるために行う、比較的軽微・日常的な修繕に要する費用をいう。
たとえば、雨漏りの部分補修、外壁のひび割れ補修、ドア・建具の調整、給排水設備の部分修理、照明器具・スイッチの交換、空調設備の部品交換、共用部の塗装補修などが該当する。
投資用不動産の収支分析等では、概ね次のように整理すると分かりやすい。
| 区分 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 小規模修繕費 | 日常的・部分的な補修(NOI項目) | 漏水補修、建具修理、部分塗装、原状回復費等 |
| 維持管理費 | 日常の管理・点検(NOI項目) | 清掃、設備点検、植栽管理等 |
| 大規模修繕費 | 数年~十数年ごとに行うまとまった工事(NCF項目) | 外壁全面改修、防水更新等 |
| 設備更新費 | 設備そのものの交換(NCF項目) | エレベーター、空調、給排水ポンプ更新等 |
| 資本的支出 | 性能・価値・耐用年数を高める工事(NCF項目) | 耐震補強、建物仕様グレードアップ等 |
重要なのは、「壊れた部分を元の状態に戻す」程度なら小規模修繕費、一方で建物の価値や性能を高めたり、耐用年数を大幅に延ばしたりする工事は資本的支出(CAPEX)と考える点である。
不動産鑑定評価での扱い
収益還元法、とくにDCF法では、小規模修繕費や維持管理費(狭義の修繕費)は、毎年発生する運営費用(NOI項目)として扱う。
これに対して、10年後に予定する外壁改修などは、毎年の小規模修繕費等には含めず、大規模修繕費・資本的支出として別途計上(NCF項目)するのが一般的である。
小規模修繕費には法律上・鑑定評価上の一律の金額基準があるわけではない。したがって、「100万円未満なら小規模修繕」というように金額だけで決まるものではなく、工事の範囲、周期、建物全体に対する割合、原状回復なのか、性能向上なのかによって判断する。
ただし、一度に大規模な修繕をおこなった場合などで運営費用と資本的支出の峻別が難しい工事項目が存在するケースがある。
その場合は、エンジニアリングレポート(ER)があればそれに従うが、ERが無い場合は、そのときは税法の規定で簡便に判断することも実務上行われている。
(注)不明の場合は、税法を根拠に30%:70%の割合で算定する鑑定機関が多いが、アセットの種別に応じて統計値を採用する鑑定機関もある。
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