たてものかいとりせいきゅうけん 建物買取請求権(借地権)

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建物買取請求権(借地権)

地主に借地上の建物を買い取らせることのできる権利をいい、借地上の建物の「建物買取請求権」は、 ①借地期間が満了して更新されない場合 と、②借地上建物を第三者に譲渡したのに地主が借地権の譲渡を承諾しない場合 の2種類に分けることができます。
旧法と新法の対応関係は次のとおりです。

場面 旧借地法 現行・借地借家法
期間満了・更新なし 4条2項 13条1項
建物譲渡・地主が借地権譲渡を不承諾 10条 14条

旧借地法の場合

旧借地法は1992年(平成4年)8月1日に廃止されましたが、旧法時代から続く借地権では、存続期間や更新などについて現在も旧法のルールが重要になります。(鹿児島県森林組合)
① 期間満了時の建物買取請求権 ― 旧借地法4条2項
旧借地法4条では、借地権が期間満了となったとき、借地人が更新を求め、地主に正当事由があって更新が認められなかった場合などに、借地人は地主に対し、建物等を「時価」で買い取るよう請求できるとされていました。旧借地法4条2項が現在の借地借家法13条1項の原型です。実質的な仕組みはほぼ同じです。(日本歴史情報研究)
典型例は、30年・60年等の借地期間満了 → 地主が更新を拒絶 → 正当事由が認められる → 借地契約終了 → 借地人が建物買取請求という流れです。
つまり地主は、更新を拒否して土地を取り戻す一方で、まだ経済的価値のある建物を借地人に取り壊させるのではなく、一定の場合には自ら買い取らなければならない、という制度です。
② 第三者による建物買取請求権 ― 旧借地法10条
もう一つが、借地人が借地上建物を第三者へ売却した場合です。例えば、
A=地主
B=借地人・建物所有者
C=建物購入者
として、BがCへ建物を売却すると通常は借地権もCへ移す必要があります。
ところが地主Aが、「Cへの借地権譲渡は承諾しない」とした場合、Cは借地権を地主に対抗できないことになります。
そこで旧借地法10条はCに、「それなら地主Aがこの建物を時価で買い取ってください」
という建物買取請求権を認めていました。(日本歴史情報研究)これが現在の借地借家法14条につながっています。

新法(借地借家法)の場合

現在は借地借家法13条と14条が中心です。
借地借家法13期間満了時
13条1項は、借地権の存続期間が満了し、契約の更新がないとき、借地人は地主に対して、建物等を時価で買い取るよう請求できると規定しています。
したがって要件は基本的に、存続期間満了+契約更新なし+借地上に建物等が存在+借地人が買取請求権を行使です。
重要なのは、単に「借地契約が終了したら必ず使える権利」ではないことです。例えば、借地人が地代を長期間滞納して契約を解除されたような債務不履行解除の場合には、建物買取請求権は認められないというのが最高裁判例です。(六法ラボ)
② 借地借家法14条 ― 第三者の建物買取請求権
14条は少し性質が違います。
借地人から建物を取得した第三者について、地主が土地賃借権の譲渡・転貸を承諾しない場合、その第三者が地主に対し、「建物を時価で買い取れ」と請求できます。
つまり、13条=従来の借地人を保護する制度、14条=建物を取得した第三者を保護する制度です。

買取請求をするとどうなるのか(法律効果)

建物買取請求権は単なる、「買ってくれませんか」という申込みではありません。
法律上の形成権とされています。
したがって、要件を満たした者が、「建物買取請求権を行使します」と意思表示すると、地主が「嫌です」と言っても、原則としてその時点で売買契約が成立したのと同じ法律関係が生じます。
2026年8月28日の最高裁も14条について、「借地権設定者の意思にかかわらず形成的に建物の売買契約が成立する」制度であることを確認しています。地主側にとってはかなり強力な制度です。

買取価格は「時価」

旧法4条・10条も、新法13条・14条も共通して「時価」で買い取るとしています。
ここでいう時価は、単なる解体材・古材価格ではなく、建物として存在している状態での価値を基礎に評価します。
ただし、「建物価格+借地権価格をそのまま足した金額」という意味でもありません。
建物の状態、用途、耐用年数、立地との関係、付属物等を含めて評価することになり、実務上は不動産の鑑定評価が必要になることがあります。

原則として借地人に不利な特約は無効

現行法16条は、13条・14条に反する特約で借地人等に不利なものを無効としています。旧借地法にも同様に11条がありました。(日本歴史情報研究)
したがって普通借地権について、あらかじめ単純に、「契約終了時には建物を無償で撤去し、建物買取請求権は一切行使しない」と定めても、13条が適用される場面で借地人の権利を排除する部分は原則として無効となります。
ただし、ここには大きな例外があります。
一般定期借地権や事業用定期借地権では、一定の要件の下で建物買取請求権を認めない仕組みにできます。借地借家法22条・23条が明文で認めています。

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