相続に関する鑑定評価

不動産の遺言書作成費用はいくら?徹底的に解説します。

不動産の遺言書作成費用はいくら?徹底的に解説します。
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不動産を相続するときに気になるのが「遺言書の作成費用はいくらかかるのか」という点です。

現金や預金と違って、不動産は分割しにくく、評価方法によって価値も変動します。

そのため、遺言書で明確に意思を残しておくことが特に重要です。

遺言書には複数の方式があり、それぞれ必要な費用やメリット・デメリットが異なります。

中でも、自筆証書遺言と公正証書遺言はよく利用される方法です。

さらに、不動産が相続財産に含まれる場合には、不動産鑑定士に相談して評価額を適切に把握することが、トラブル防止に大きな効果を発揮します。

遺言書の種類と特徴

遺言書には大きく3つの方式があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

自筆証書遺言は費用がかからず手軽に作成できます。

公正証書遺言は公証人が関与するため無効リスクが低く、特に不動産を含む相続で安心感が高い方式です。

秘密証書遺言は内容を秘密にできますが、家庭裁判所での検認が必要で実務上は利用が少ないのが現状です。

不動産を含む自筆証書遺言の特徴と費用

自筆証書遺言は、自分で作成できるため費用を抑えたい人に向いています。

  • 作成費用:基本的に無料
  • 保管制度を利用する場合:1件につき3,900円

不動産を含む場合には、土地や建物の表示を正しく書かなければ無効になる恐れがあります。

特に地番や家屋番号を間違えると相続人間で争いが生じる原因になります。

法務局の保管制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクが減り、家庭裁判所での検認も不要になるため安心です。

不動産を含む公正証書遺言の特徴と費用

公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため、形式的な不備で無効になる可能性が極めて低い方式です。

特に不動産を相続する場合には、登記や分割をめぐるトラブルを避けるうえで最も有効な方法といえます。

  • 公証人手数料:財産額に応じて決定(例:100万円以下は5,000円、500万円以下は11,000円、1億円超3億円以下は43,000円+超過額5,000万円ごとに13,000円加算)
  • 証人謝礼:司法書士や行政書士に依頼すると1人5,000円〜1万円程度(※親族や推定相続人は証人になれません)
  • 必要書類の取得費用:戸籍謄本や固定資産評価証明書、登記事項証明書などで数千円〜
  • 公証人の出張費:自宅や病院で作成する場合、手数料は通常の1.5倍。さらに交通費・日当(日当は1日2万円、4時間以内は1万円)が必要

こうした費用を合計すると、公正証書遺言の作成には一般的に2万〜5万円程度が目安となります。

不動産を含む相続では、費用はかかりますが、将来の争いを防ぐための投資と考えるのが妥当です。

専門家に依頼する場合の費用と役割

不動産を含む遺言書は記載が複雑になることも多いため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのも有効です。

  • 自筆証書遺言を依頼:10万〜50万円程度
  • 公正証書遺言を依頼:20万〜75万円程度

依頼すれば、文案の作成や不動産に関する記載方法、必要書類の収集などを任せられるため、

不備やトラブルのリスクを大幅に減らせます。

また、遺言を実行する役割(遺言執行者)を弁護士や信託銀行に依頼する場合は、別途報酬が発生します。

これは必須ではありませんが、不動産の名義変更や売却を伴う場合には有効です。

不動産が含まれる場合は、不動産鑑定士のサポートも強力です。

不動産鑑定士は不動産の時価を評価できる唯一の国家資格を持ち、相続税評価額と市場価格の差を適切に整理できます。

これにより、相続人間の価値認識のズレを防ぎ、公平で納得感のある分割を実現できます。

公正証書と自筆証書の比較

遺言書の方式を選ぶ際は、費用だけでなく有効性やトラブル防止効果を総合的に比較することが重要です。

  • 費用面
    自筆証書遺言は無料または数千円。公正証書遺言は数万円以上かかりますが、不動産を含む相続では費用以上の安心感があります。
  • 有効性
    自筆証書遺言は記載不備による無効リスクが大きい。不動産情報の記載は特に注意が必要です。公正証書遺言は公証人が関与するため、有効性がほぼ保証されます。
  • トラブル防止効果
    自筆証書遺言は低コストですが、相続争いの原因になる可能性があります。不動産を含む場合は特にトラブルが起こりやすく、公正証書遺言を選ぶ方が安全です。

不動産の遺言書作成を考えるべきタイミング

遺言書は「必要になってから」では手遅れになることもあります。

特に不動産は現金と違って分割が難しく、評価の方法によっても価値が変わるため、早めの準備が重要です。

不動産を所有している人は、次のような状況にあてはまる場合には、遺言書の作成を積極的に検討すべきです。

  • 財産の多くを不動産が占めている場合
    不動産は相続財産の中でも大きな割合を占めることが多く、現金のように簡単に分割できません。換価分割(売却して現金化)するか、そのまま相続人の誰かが取得するかで意見が対立することが多いため、遺言書で明確に指定しておく必要があります。
  • 特定の相続人に不動産を優先して残したい場合
    たとえば長男に自宅を継がせたい、事業を継ぐ子に事務所や店舗を残したい、といった希望がある場合は、遺言書で意思をはっきり示しておかなければ他の相続人と争いになる可能性が高まります。
  • 家族関係が複雑で分割トラブルが予想される場合
    再婚や前妻との子どもがいるなど、相続人同士の関係が複雑なケースでは、不動産をどう分けるかが最大の火種となります。遺言書を残さなければ、裁判所での調停や審判に発展する可能性もあります。
  • 判断能力の低下が不安になってきた場合
    遺言書は本人の判断能力がしっかりしている時でなければ作成できません。認知症が進行してからでは無効になる恐れがあるため、健康に不安を感じ始めた段階で早めに準備することが大切です。

こうした状況で遺言書を用意しておくことで、不動産をめぐる相続トラブルを防ぎ、スムーズに承継を進めることができます。

 

まとめ

不動産の遺言書作成費用は、単なる出費ではなく家族の安心を守るための大切な投資です。

自筆証書遺言は安価ですが不備のリスクがあり、不動産を含む場合には特に注意が必要です。

公正証書遺言は費用がかかる一方で、登記や分割をめぐる争いを未然に防ぐ効果が高く、将来の安心につながります。

弁護士や司法書士に依頼すれば法的な不備を防げ、不動産鑑定士に相談すれば不動産評価の公正性を確保できます。

状況に応じて最適な方式を選び、家族にとって円満な相続を実現しましょう。

▶︎不動産相続を成功に導くために不動産鑑定を利用する4つのメリットとは?

 

 

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