スタッフコラム

東京

中央不動産鑑定所レポート(2023年4月)

押さえておきたい地価公示の注目ポイント(令和5年)

2023年地価公示は2年連続で全用途平均が上昇!コロナ前と同水準以上の回復

詳しくは令和5年地価公示に関する中央不動産鑑定所レポート(PDF)もご覧下さい。

※地価公示とは、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が、一般の土地の取引価格の指標とするなどのため、都市及びその周辺の地域等において標準地(公示地)を選定し、二名以上の不動産鑑定士の鑑定評価を得た上で、毎年1月1日時点の1㎡当たりの正常な価格を判定し公示する制度です。

令和5年(2023年)地価公示のキーワード

コロナ前と同水準以上の回復傾向
中心部の住宅地はマンション用地の需要が強い
郊外の住宅地は割安感から需要が強まる
商業地は回復の期待感から上昇傾向

令和5年(2023年)地価公示の要説(目次)

全用途平均で2年連続の上昇!コロナ前に戻る

住宅地は郊外の割安な土地が高い上昇率を示す

商業地は期待感もあり上昇に転じている

工業地は物流施設適地の上昇が継続

全用途平均で2年連続の上昇!コロナ前に戻る

全国平均で住宅地と商業地は2年連続で上昇、工業地は7年連続で上昇。コロナ前の回復傾向が顕著となる。

2023年の地価公示は、全国平均で住宅地が1.4%、商業地が1.8%、工業地が3.1%の上昇となっており、全用途平均で2年連続上昇しています。全国平均では、住宅地と商業地は2年連続、工業地は7年連続の上昇となっており、上昇率も拡大しています。
圏域別にみると、住宅地と工業地は東京圏、大阪圏、名古屋圏で2年連続上昇し、商業地は東京圏と名古屋圏で2年連続上昇し、いずれも上昇率が拡大しています。商業地で大阪圏は3年ぶりに上昇に転じています。地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では、全用途において10年連続で上昇しており、上昇率も拡大している状況です。
2020年の地価公示は2019年から2020年にかけての地下の値動きを反映したものであり、コロナ前の状況を表す地価公示になります。2020年の地価公示では、全国の全用途平均で1.4%の上昇でした。一方で、2023年の地価公示は、全国の全用途平均で1.6%の上昇となっており、上昇率はコロナ前と同水準以上の回復を示したことになります。

住宅地は郊外の割安な土地が高い上昇率を示す

住宅地は都市部ではマンション用地の需要が高く、郊外の割安感のある土地は実需の増加により地価が力強く上昇している。

住宅地は、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、地価上昇が継続しています。特に都市部においては、利便性が高くマンション用地としての需要が高い住宅地においては全国で地価上昇が見られています。住宅地としての価格が全国1位である東京都港区赤坂地区(港-4)では、高級分譲マンションが供給される優良住宅地域において地価が+2.4%上昇しています。大阪圏でも大阪市福島区(大阪福島-7)では+7.4%上昇しており、マンション用地の需要が高く地価上昇が継続している状況です。
一方で、郊外の住宅地では都市部と比べると地下に相対的な割安感があることから実需が強まり、高い上昇率が示されました。千葉県木更津市(木更津-38)では+20.9%、茨城県つくばみらい市(つくばみらい-4)では+12.0%の高い上昇率を示しています。このような郊外での高い上昇率は全国的に見られる現象であり、札幌市郊外である北海道北広島市(北広島-1)では+30.0%となる高い地価上昇が示されました。北広島-1は全国全用途の中で上昇率が全国1位です。

商業地は期待感もあり上昇に転じている

商業地は再開発が進む地方都市では高い上昇率を継続しており、大都市圏の中心部においては回復の期待感から下落から上昇に転じている。

商業地は、全国平均で+1.8%の上昇率ですが、内訳としては三大都市圏が+2.9%と低いのに対し、地方四市が+8.1%と高くなっている点が特徴です。地方四市は再開発が行われたことでオフィス需要が高まり、再開発地区の周辺ではマンション需要も高まっていることで地価上昇が継続している状況が見られます。特に福岡県福岡市や北海道北広島市では再開発が強く影響しており、高い地価上昇が継続している状況です。
一方で、大都市圏の中心部においては期待感によってわずかに地価が上昇している動きが見られます。東京都中央区銀座地区(中央5-22)では昨年の▲1.1%から+1.5%、大阪市中央区道頓堀地区(大阪中央5-19)では昨年の▲15.5%から+1.0%という水準の上昇です。インバウンド需要の完全な回復には至っておらず、上昇率は弱含んでいます。特に大阪圏では商業地の上昇率が2020年には+6.9%もありましたが、2023年は+2.3%に留まっており、コロナ前の水準には回復していない状況です。

工業地は物流施設適地の上昇が継続

工業地は物流施設の建設に適した土地の地価上昇が継続しており、上昇率の拡大も全国で拡大している。

工業地は、都市部の近郊において高速道路のインターチェンジや幹線道路へのアクセスが良く、大型物流倉庫を建設できる大規模な画地を確保しやすい地域の地価が上昇しています。典型的なのが千葉県北西部の工業地であり、都内に近く広い土地を確保できる地域に高い上昇率を示した土地が集中しています。工業地の上昇率全国トップ10のうち、8つの地点が千葉県北西部の工業地です。
また、沖縄県糸満市(糸満9-1)では、那覇市北部や豊見城市の工業地よりも割安感があることから、+25.9%という工業地としては全国1位の上昇率を示しています。

ロジスティック

地価公示(ちかこうじ)とは、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が、一般の土地の取引価格の指標とするなどのため、都市及びその周辺の地域等において標準地(公示地ともいう)を選定し、二名以上の不動産鑑定士の鑑定評価を得た上で、毎年1月1日時点の1㎡当たりの正常な価格を判定し公示する制度です。なお、地価公示地と都道府県地価調査の基準地の違いについてはこちら(不動産用語集)にまとめてありますのでご覧ください。



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令和5年地価公示発表(国土交通省)
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