東京の人口問題を考える

.現状分析

  1. 東京都の世帯当たり人数

(ファミリー世帯)

23区の1世帯当たり人数の平均は1.88人で2人を切っています。19区が2人未満で、2人以上が4区です。4区は高い順に江戸川(2.11人)・足立・葛飾・練馬となります。年代別の人口比率を比べるとこの4区は0~14歳の子供の世代が多く、ファミリーの比率が高いのがわかります。他に23区の平均1.88人を超えている区は、江東(1.98人)・荒川・世田谷・大田・板橋です。江戸川・足立・葛飾・練馬・江東・荒川・世田谷・大田・板橋のうち、江東と荒川は別ですが、他の区は区部では外縁部にあって千葉県・埼玉県・神奈川県に接しています。23区の平均は1.88人ですが、多摩26市平均2.15人、川崎市平均2.12人、横浜市平均2.27人、さいたま市と千葉市が2.29人となり、東京都心から離れるにつれ1世帯当たりの人数が多くなる傾向を示しています。

(単身世帯)

一方1世帯当たりの人数が少ないのは、新宿(1.6人)・豊島・渋谷・中野・台東・中央という順になります。年代別の人口比率を比べると、中央を除く新宿・豊島・渋谷・中野・台東は0~14歳の子供の世代が10%を割っていることから、ファミリー世帯の比率が低いのがわかります。1世帯当たりの人数が少ないのは、ファミリー世帯が少なく単身(おひとりさま)世帯が多いと推定されます。生産年齢人口の15~64歳の人口比率を比べると、23区の平均68%に対して67%の台東を除く新宿・豊島・渋谷・中野・中央は71~72%でやや高くなっています。また、65歳以上の老年人口の比率は23%の台東区を除くと平均の21%を新宿・豊島・渋谷・中野・中央は19~21%でやや下回っています。単身(おひとりさま)世帯は、死別・離別で高齢者世代も多くなりますが、新宿・豊島・渋谷・中野・中央の5区に関しては、生産年齢人口の15~64歳の世代に単身者が多いと推測できます。新宿・豊島・渋谷・中野・台東・中央は、中野を除くと、新宿・池袋・渋谷、銀座/日本橋(中央区)、上野/浅草(台東区)の繁華な高度商業地をかかえています。ということで、ビジネス街に勤務する単身者だけではなく、繁華街をささえる飲食・小売り・サービス業に従事する単身者が多いので、高度商業地をかかえる区の単身(おひとりさま)世帯が多くなるという常識を再確認です。中野に単身者が多いのも、地図を眺めて中野区が新宿区・渋谷区・豊島区に区界で接していることが分かると、腑に落ちます。

  1. 東京都の出生率

東京都全体の合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は1.13で、区部の平均は1.16です。1世帯当たりの人数が多い江戸川・足立・葛飾・練馬・江東・荒川・世田谷・大田・板橋のうち世田谷は平均を下回りますが、他の8区は最も高い江戸川の1.45から板橋・大田の1.17の間に分布しています。合計特殊出生率が1.0を下回るのは、単身世帯の多い中野・新宿・渋谷・豊島と目黒・杉並で、中野の0.93から豊島の0.99の間にあります。多摩26市の平均が1.27で、区部に隣接し熟成度の高い武蔵野・三鷹・狛江と高齢化の進む多摩は1.20を下回りますが、後の22市は最も高い稲城市/羽村市(1.50)から町田/青梅(1.20)の間に分布しています。東京圏の大都市の(H22の統計)は、川崎市1.34、千葉市1.30、横浜市/さいたま市1.28です。日本の平均は1.43(H25)で、東京都全体の合計特殊出生率1.13は比較するとかなり低く感じますが、やや郊外の稲城市1.50、千葉県と接する江戸川の1.45、大田区世田谷区と接する川崎市1.34を並べると、少子化問題何とかなりそうな感じになります。こうして東京圏の人口データを見てみると、『地方消滅』の「東京一極集中が招く人口急減」や、地方創生の「東京は子供を産みにくいので子育てのしやすい地方に移住して子供を産もう」には疑問がわいてきます。東京の少子化問題の解決は、「子育てはやや郊外」でいけそうな気がします。

  1. 東京の外国人

900万人の 東京23区に住んでいる外国人は、約35万人で比率では3.8%になります。外国人の多い区は、3.5万人の新宿を筆頭に、江戸川・足立・江東・豊島・大田・港・板橋と続きます。新宿区内の外国人の比率は10.8%で断トツです。東京23区の482万の世帯数のうち、外国人の世帯数(注)は25万世帯で、比率では5.2%です。外国人の世帯数の多い区は、新宿の2.5万世帯を筆頭に、人口と同じように江戸川・足立・江東・豊島・大田・港・板橋の順になります。東京23区に住んでいる外国人の国は、多い順に中国(約14万人・42%)・韓国/朝鮮(約8万人・25%)・フィリピン(約2万人・6%)・米国(約1.3万人・4%)がベスト4で、次いでネパール(3%)・ベトナム(2.4%)・インド(2.2%)・タイ(1.7%)と続きます。中国人の多い区は新宿・豊島・江戸川・江東、韓国/朝鮮は新宿・足立・荒川、フィリピン人は足立・江戸川・大田、米国人は港・世田谷・渋谷、インド人は江戸川・江東・港となります。
(注)外国人と日本人のカップルも含んだ世帯数。

東京都の2040年の人口推計

  1. 東京都区部

2回目の東京オリンピック2020年。その20年後の2040年。東京の人口減が本格化しますが、2010年の人口に対する2040年の推計人口の減少割合は東京都区部でばらつきが見られます。増加傾向を示す区もあり、減少傾向にも幅があるからです。首都東京都区部は人口870万人、バブル崩壊後の地価下落による都心回帰もあって、2014年(平成26年)時点では、人口は全区増加しています。その中でも、中央・江東・港の増加が顕著です。分析に際しては、都心地域の11区(千代田・中央・港・新宿・渋谷/文京・豊島・荒川・台東・墨田・江東)をセンターコアエリア、その他の区部を城北(北・板橋・練馬)、城西(中野・杉並)、城南(目黒・品川・大田・世田谷)、城東(江戸川・葛飾・足立)の5エリアに区分しました。

[東京都区別の2010年総人口に対して2040年推計総人口の増減率]

①東京都区部全体では3%減。

②センターコアエリア(千代田・中央・港・新宿・渋谷/文京・豊島・荒川・台東・墨田・江東)のうち渋谷・台東・豊島・文京の4区は12%・5%・4%・1%の減少で、他の区は増加。特にタワーマンションで人気の臨海部をもつ中央・江東・港の3区は、22%・18%・12%の増加。

③城北(北・板橋・練馬)は、練馬が6%増加で、北・板橋は12%・13%の減少。

④城西(中野・杉並)は中野12%、杉並15%の減少

⑤城南(目黒・品川・大田・世田谷)は、目黒が7%減少で、品川・世田谷は微減で大田は横ばい。

⑥城東(江戸川・葛飾・足立)は、江戸川が微減で、葛飾21%、足立24%の減少。

[増減率に対しての見解]

○センターコアエリア(千代田・中央・港・新宿・渋谷/文京・豊島・荒川・台東・墨田・江東)全体ではでは6%の増加となり、2040年時点では都心中心部は人口減の中でも都心回帰により人口が減少しない。

○城南(目黒・品川・大田・世田谷)全体では横ばいで、このエリアに隣接する川崎市や横浜市の北部では増加基調なので、2040年時点では人口は維持されている。

○城北(北・板橋・練馬)は練馬の人口増があるので全体で5%減。

○城西(中野・杉並)は全体で14%減、城東(江戸川・葛飾・足立)は全体で15%減となり、2040年時点では、人口減による影響が大きくなる。

○ただし、増加する区と減少する区の違いが何かというのは、現時点の人口ピラミッド・世代別人口等を比較しても相関するものが見えてきませんが、しいてあげるならば現時点の人口増加率が低い方に2040年に減少する区が比較的多いということです。

  1. 東京都市部

東京都市部は人口410万人、2014年(平成26年)時点の10年間の人口増減率は、福生市と青梅市以外は増加しています。その中でも稲城・府中・武蔵村山の増加が顕著です。分析に際しては、東京都市部26市を、JR中央線沿線都市の中央部(武蔵野・三鷹・小金井・国分寺・国立・立川・日野)、西武線沿線の北部(小平・清瀬・東久留米・武蔵村山・西東京・東大和・東村山)、西部(昭島・青梅・福生・あきる野・羽村)、京王線と小田急線沿線の南部(狛江・調布・府中・稲城・多摩・町田・八王子)の5エリアに区分しました。

[東京都市部別の2010年総人口に対して2040年推計総人口の増減率]

①東京都26市のうち人口減が17市、横ばいが2市、増加が7市。ただし、人口の多い市が増加基調若しくは微減のため全体では5%減。

②吉祥寺・立川を抱える中央部(武蔵野・三鷹・小金井・国分寺・国立・立川・日野)の市部全体の現在の人口シェアは約24%で、将来人口は3%減。なお、三鷹6%、小金井2%の増加で、国分寺・国立が横ばい。

③西武線沿線の北部(小平・清瀬・東久留米・武蔵村山・西東京・東大和・東村山)の市部全体の人口シェアは約21%で、将来人口は6%減。東村山7%増、東大和が横ばい。

④西部(昭島・青梅・福生・あきる野・羽村) の市部全体の人口シェアは約11%で、将来人口は20%減。

⑤京王線と小田急線沿線の南部(狛江・調布・府中・稲城・多摩・町田・八王子) の市部全体の人口シェアは約44%で、将来人口は2%減。稲城15%、町田・府中が2%の増加。

[増減率に対しての見解]

○住宅開発の早い中央部(武蔵野・三鷹・小金井・国分寺・国立・立川・日野)は、居住環境と都心部へのアクセスの良さもあり2040年時点での人口はほぼ現状維持となる。住みたい街NO1の吉祥寺を抱える武蔵野市は、住宅地として極めて熟成度が高く流入の壁が高いことから15%の人口減になるものと推測される。

○人口シェアの高い南部(狛江・調布・多摩・府中・稲城・多摩・町田・八王子)は、世田谷に隣接する狛江・調布は住宅地として熟成度が高いものの、開発の遅いエリアがあることや京王・ 小田急の都心部へのアクセスのよさや、隣接する川崎市や相模原市の都市規模と東京のベッドタウンとしての機能が強いこともあって2040年時点での人口はほぼ現状維持となる。

○南部の多摩ニュータウンを抱える多摩市と稲城市は、現在多摩が住民の高齢化と建物の老朽化の状態にあり今後15%の人口減に陥るのに対して、多摩に比べて東京都心に近い稲城は住宅開発が遅くバブル崩壊後に若年層の流入が始まったことから15%の人口増加という正反対の増減予測になっている。

 (文責 安澤)

本レポートはブログ「不動産未来ナビ」の下記の記事を再構成しています。なお、レポートの分析結果は、東京都の人口統計(平成26年1月)と国立社会保障・人口問題研究所の平成25年の「日本の将来推計人口」のデータを基にしています。

おひとりさまは都心 子育てはやや郊外
おひとりさまの多い街 東京
外国人の住む街 東京
2040年の推計人口から見えてくるもの③ (東京都区部)
2040年の推計人口から見えてくるもの④ (東京都市部)